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- 日本農業の課題とバイケミ農業 -
「竹肥料農法・バイケミ農業の実際」(農文協発行)書店で発売中

 今の農産物に求められている安全、安心、健康で美味しい農作物は裏を返せば、化学肥料、農薬を使わず、安全で美味しい農産物を

(1).農業生産者は費用と労力を掛けず多量に生産し、高く売れるもの
(2).消費者は安く、いつでも手に入るもの

を作ることであるが、これらは技術的には農業者の技術問題範囲を超えて農政と農学の領域に及び、且つWTO問題から政治、経済の問題を総括したものになっており、農業者自身、農学及び農政関連者の全ての人が満足する解が出せずに、スローガンが掲げられるだけで時間だけ経過して行き、肝心の日本の農業は過去に培った伝統農業(※)の良さが、農業就業人口の減少とともに失われて行っているのが現状の問題である。我々バイケミ農業は理想求め主義主張を喧伝するのではなく、伝統農業(※)を生化学的に捉えて、その解決策の一助を提供するものであり、特に考えねばならないことは次の三点である。

 ※伝統農業:昔から2000年間続いて来た日本古来の肥やし農業


1.農学は工学ではない。

 農作物を工業製品並に扱うことことは出来ない。製造工程は自然の摂理が決めることであり、
画一的品質をあらゆる自然条件に適合して同一品質を確保することは不可能である。反面、農業での人間の作業の失敗は自然の力がカバーしてくれることもあるが、これは工業には無いことである。
我々は露地栽培が農業の本質であると考えるが、現状の施設栽培を否定するものではない。
しかし施設栽培においても、露地栽培における生態系農業の本質を理解して、取り入れることを提唱するものである。


2.農業に関する問題は、立場と利害が正反対関係である。為政者はこれらの問題を同一視することなく区別して論ずるべきである。

 特に安心の項における最近の産地偽装問題、ブランド表示の偽装問題や不許可の農薬使用がその典型である。安全、安心、美味しさの問題の本質について、安全は技術(学・術)で、農業者と指導者の問題である。安心は関係者それぞれの立場のモラルの問題である。健康で美味しいものを沢山とることは農業者の知識と技能そのものである。

(1) 最近の国内農業問題を反映した農業関係法律の整備、制定と改正は次の通りである。

1999年 食料・農業・農村基本法        
農業環境関連三法
米の自由化法案
持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律
2000年 有機農産物の日本農林規格
2002年 バイオマス・ニッポン閣議決定
2003年 食品安全基本法
食品衛生法改正(農薬ポジティブリスト制度)
2005年 食育基本法
食料・農業・農村基本計画
2006年 有機農業推進法
農薬ポジティブリスト制度施行

(2) 官制有機農法と民間農法(バイケミ農業)

 現在の日本農業は全て有機農業で解決されることになっている。先ず1999年に「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」が制定されて、農法は有機農業であることが基本で示されて、2000年に「有機農産物の日本農林規格」が制定されて、1990年頃から問題になっていた有機農産物の無基準表示横行への対策として採られていた暫定基準がJAS規格に格上げされ、2006年には「農薬ポジティブリスト制度」の施行で「無農薬化」と「有機農業推進法」が制定され有機農業が管制農業として確立した。

 しかしこの官制有機農業の法律が化学肥料や農薬を全く使わず安全、安心、健康で美味しくて農家が儲けることができて、環境を汚染させず持続する農業を担保すると言えるものではなく、本音ベースでは誰しも行き詰まりを感じている。
 一方において民間の昔ながらの知恵や工夫で問題の解決が図られていることが注目され、1990年頃から(社)農文協から民間農法シリーズの発行が始まりここ20年間に24の民間農法が紹介され、25番目が2009年に発行された我々の「竹肥料農法−バイケミ農業の実際」である。一口で言う違いは、有機農業が堆肥・基肥農業に対してバイケミ農業は生肥・地表面施肥農業である。


3.安全、美味しさに対する基準が必要

「食の安全」について、「確」たる因果関係は立証できないが「食」が関わるであろうと思われる、最近の健康に関する話題としては(1)自然気胸、(2)クローン病、(3)アトピー性皮膚炎、(4)小児喘息、(5)学力低下と若者の切れる現象、(6)拒食症、(7)男子精子の減少などがある。
 又直近の問題として野菜残留硝酸塩問題がある。農水省のホームページでも硝酸塩問題の健康に及ぼす影響の記述において、食品添加物への制限値との比較で、現状の野菜の硝酸塩が桁違いに多いことを指摘している。調査は東京都を始め約20年前から始められており、海外では既に1995年にEU規格が制定されるに至ったが、我が国では何らかの対策をやっているらしいが、問題の因果関係と対策に農政、農学の対応と実施が、明示、公表されていないのが現状である。むしろ農政による発言がタブー視されている感がある。
 有機農産物JASマークは農法プロセスへの認定であり、例えばその結果の硝酸塩がいくらでなければならないとの規定がない。何れEU並の規定が導入されれば大きな問題となるであろう。
 我々のバイケミ農業では、安全、食味についても実績データの定量化に努め、先ず「安全」に関する野菜硝酸塩は株式会社堀場製作所(HORIBA)のTWIN NO3-B-341(旧品番CARDY-C141)を使い、「美味しさ」の問題については先ず主食の米については株式会社サタケの食味計を、果実類の糖度については各社の糖度計を用いて、評価を行っている。「美味しさ」の総合性を示す「旨さ」については、株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー社が開発した味認識装置を使用している。
野菜のうち、大根については以上の試験を試み、バイケミ農法での差別性を示す実験初期データを取るところまで行っている。

以上の諸問題に対して、バイケミ農業は、安全性については農薬を使わずに済ませる農業を目指し、施肥、栽培技術では残留硝酸塩をEU基準の半分くらいを目指し、美味しさについて、果実は糖度計、米は食味計で評価して、総合的には味認識装置を用いて、差別性を出すことを目指す農業である。
又生産量は本来の植物生態系で出来得る最大量を目指した栽培技術を研鑽し、農家にとっての経済性(収入額)はその生産量と総合品質の向上によりアップする販売単価との積(掛け算)で評価されるものとしている。
 ここ数年、植繊機を導入してバイケミ農業を実践した農家の方々からは、この総合した経済性を向上させ、後継者問題も解決したと言う報告も寄せられている。バイケミ農業生産者例で紹介する方々である。

食育基本法の成立は、その精神とするところは人間の健康につがる「食・農」と「栄養・食味」の関するバイケミ農業の主張と合致するものであり、食育の運用面に当っては養分摂取の食事論よりも、その根幹を作る食農栄養論に重点を当てた展開を期待するものである。

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